第3回 経団連「モビリティ委員会」開催

モビリティ産業の国際競争力の強化を通じ日本経済全体の成長を目指す経団連「モビリティ委員会」(十倉雅和委員長、豊田章男委員長、有馬浩二委員長)の第3回会合が10月5日に東京・大手町の経団連会館(オンライン併催)にて開催されました。今回は委員会企業からも数多く出展・参加が予定されている、間近に迫った「ジャパンモビリティショー」(10月26日開幕、一般公開10月28日~)について、各社から「日本発のモビリティ」を発信していく決意をはじめ、経済産業省製造産業局長をゲストに招き、デジタルトランスフォーメーション(DX)やグリーントランスフォーメーション(GX)などモビリティ産業を取り巻く課題について活発な議論が交わされました。
 
  


モビリティ委員会委員長 有馬浩二 氏(部工会 会長・デンソー会長)


日本自動車部品工業会の有馬でございます。日本の国際競争力について、部品産業、ならびに中堅・中小企業の立場からひと言コメントさせて頂きます。

現在 欧米・中国では、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、経済安全保障などを旗印に保護主義的な産業政策や通商政策が加速しています。
このままでは 日本でモノづくりを続けることが難しくなり、特に 中堅・中小企業にとっては死活問題になりかねません。
この状況を打破し、日本のモノづくりをもっと元気にするためには、思い切った産業政策・通商政策とモビリティ産業一丸となった取り組みの両輪が極めて重要かと思います。

例えば カーボンニュートラルに関して、現在部工会では、工場・設備の省エネ活動を中小企業と共に進めておりますが、再エネ調達については、安定確保や導入コストの負担に対する不安の声が上がっております。中小企業が安心して再エネを活用できるよう、安定・安価な供給力の確保、企業規模に応じた柔軟な支援制度など、政府のお力添えをお願いしたいと思います。

また、自動車の電動化に伴う事業変革についても環境整備が必要です。部工会では、ジャパンモビリティショーをきっかけに、中小企業とスタートアップの連携を支援し、新事業創出・事業転換に向けた土壌づくりを強化しております。その一方で、内燃事業の長期安定的な供給責任を果たしていく上で、中小企業にとっては企業間の事業再編や合従連衡も大切な選択肢の一つとなります。
しかしながら、独占禁止法の制度や運用上の懸念から、一歩を踏み出しにくい実態があります。
分かり易い基準、柔軟なルール設計といった環境整備が更に進むと、より機動的に、ダイナミックに産業全体の競争力を維持・向上できると考えております。

サーキュラーエコノミーに関しても、欧州の動きは非常に早く、リサイクル材の囲い込みが各国で始まる中、国内車両生産の半分を輸出する日本では、国を跨いだリサイクル材確保や資源循環インフラの強化が待ったなしの状況です。長年日本のモノづくりを支えてきた中小企業も含めて、安定的に材料を確保できる静脈産業の発展や制度の見直しについて、政府のお力添えをお願いしたいと思います。

自動車産業を力強く後押しする産業政策こそが、国内にものづくりを残し、国際競争力を高める通商政策の大前提かと思いますので、引き続きご支援よろしくお願いします。

詳細内容については、JAMA BLOGをご覧ください。(URL:https://blog.jama.or.jp/?p=5187 )