日本自動車部品工業会 茅本会長 就任のご挨拶

5月23日、通常総会後に実施しました理事会において新会長に茅本 隆司(かやもと たかし)氏が就任しました。
同日実施の記者会見では、正副会長全員が登壇し新役員体制を発表。茅本新会長のご挨拶をお知らせいたします。


 

≪新役員体制≫
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― 2024年5月23日記者会見 会長就任にあたってのご挨拶 ―

■会長 茅本 隆司(日本発条株式会社 代表取締役会長)
この度、日本自動車部品工業会の会長を拝命いたしました、茅本でございます。
80年以上に亘り、日本の自動車産業を支えてきた先人の道を継承していくにあたり、大変身の引き締まる思いです。

また、有馬前会長には、本日まで部工会を強力なリーダーシップで牽引していただきました。自動車産業のみならず、関係する産業を含めた「モビリティー産業」というレベルで「連携と共感」の輪を広げることに大変ご尽力いただきました。
改めて心より感謝と敬意を表したいと思います。

さて、私どもの自動車部品業界は、総出荷金額が自動車産業全体の6割を占める35兆円、従事者数はカーメーカーの18万人に対して67万人、企業数にして、6,500社を超える企業が密接に関わり、支え合っている業界です。
現時点、部工会の会員数は440社です。会員には、ティア1もしくはティア2の自動車部品業界の各分野・各地域のリーダー企業が名を連ねています。
部工会、そしてその会員企業に求められているのは、納入先である自動車メーカーと仕入先、更にその先の多くの中小企業との結節点となることです。
部工会が果たすべき使命を、今一度強く認識し、会員企業とも対話を重ねながら、部工会として“協調”と“連携”を持って行動してまいりたいと思います。

具体的には、先ほどの今年度の事業計画の中で説明のあった重点テーマに対して、次の3つの視点で活動を進めていきたいと考えています。

一つ目は、CN、CEなどを始めとする社会の要請にこたえる活動を通じて、持続的な社会の構築を目指しながら、未来のモビリティー社会の構築と発展にしっかりと貢献していくことです。

二つ目は中堅・中小を含むサプライチェーン全体の健全な維持・強化に取り組むことです。
今、日本では自動車産業に限らず、全ての働く人が適正な報酬を得られるようになることが求められています。
そのカギを握るのは、正しい価格で買い、正しく良いものを造り、正しい価格売る、正に適正取引の実現です。
適正な対価を得ることは、部工会として取り組むべき、様々な課題への対応に必要なものでもあります。
適正な対価を、人への投資、新技術への投資などに充て、結果として生み出される好循環が、社会問題の解決につながり、更にはサプライチェーン全体の競争力の強化にもつながります。
足元、自動車業界の企業が下請法違反の勧告を受けるなど、法令遵守の問題を指摘されており、部工会としては、このような状況を大変重く受け止め、部工会会員企業に改めて「襟を正す」ことを呼び掛けております。
具体的には「下請法の遵守」の再徹底をお願いして、違反行為の未然防止に努めつつ、自工会とも連携しながら、原材料費・エネルギー費の上昇分については、適切なコスト増加分の全額転嫁、労務費は仕入先様と協議の上での適正な転嫁に努めて参ります。
今後も部工会は、自工会と一丸となって、今一度「襟を正し」、法令遵守を大前提とした適正取引をサプライチェーン全体で推進、浸透させることに取組みます。

三つ目は、政府や関連団体との連携強化です。
ただいまお話しした取引適正化への取組みに限らず、部工会では、経済産業省他の関係省庁、日本自動車工業会をはじめとした自動車5団体、素形材団体、自動車総連等、多くの方々と行動を共にし、共通の目標達成や課題解決に向けて、その連携を一層強化して参ります。

部工会を取り巻く環境は大きく変化し続けています。
今後もさらに変化のスピードはあがり、より多岐にわたり、複雑になると考えています。
今後進めようとしている重点テーマは、各社が単独で対応する、あるいは「競合」だけでは、乗り越えられないレベルとなっています。
会社の枠、そして業界の枠を超えた「協調」する部分を作り、解決に取り組むことが大変重要となっています。
「部工会があってよかった」、あるいは「部工会に入ってよかった」と思っていただけるように、臨機応変、しなやかに、しかし、実直に、そして時には青臭く取り組んで参る所存です。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。